スーパーなどでみかける「みりん風調味料」。
お料理に使うみりんが欲しいけど、どうやらみりん風調味料の方がお得だし、どっちば選べばよいのやら…。
すぐ近くには「本みりん」「みりんタイプ(発酵調味料)」なんてものも並んでいて、モヤっとしたことありませんか?
名前が違うくらいですから、うすうす違う存在であることは気づいていますよね?
そう!
みりん風調味料とみりんは、別物です!!
簡単にいうとみりんが元祖で、それに近づけるために工夫され生み出されたのがみりん風調味料やみりんタイプ。
とくに、みりん風調味料は、原材料も作り方も違うものなんです。
実にややこしいですね!!
和食には欠かせない調味料、それがみりん。
今回はみりん風調味料とみりんの違いや選び方について調べてみました。
知ると知らないとでは大違い。
明日からの調味料の選び方が変わりますよ。
:日本食品添加物協会HP
この記事に書かれていること
そもそも、みりんとは
みりんは和食に欠かせないことからわかるように、日本独自の調味料です。
みりん風調味料と区別するために「本みりん」と表記されることもあります。
もともとは甘い高級なお酒として、飲むことを目的に作られていました。
伝統的な本醸造のみりんは、「もち米、米こうじ、焼酎」を長期間熟成させて作られています。まさにお酒ですね。
そのため酒税もかかり、酒屋など販売免許のあるお店でしか取り扱えなかったのです。
本醸造のみりんは高価ですが、少量でも十分に素材の味を引き出してくれます。
みりんをお料理に使う効果
お料理にみりんを使う効果は、次の5つです。
- お料理に「テリ」「ツヤ」を与え、おいしさを保つ
- 魚介類の生臭さをおさえる
- 素材の煮崩れ防止
- お料理に上品な甘みと深いコク、旨味を加える
- 味がしみこみやすい
みりんに含まれるアルコール分や糖分、うまみ成分が作用してこのような効果が期待できます。
これらの成分は、材料がじっくりと熟成される過程で自然に作り出されたものです。
みりん風調味料とみりんタイプ(発酵調味料)とは
高価な本醸造のみりんの代替品として考案されたのが、みりん風調味料やみりんタイプ(発酵調味料)です。
みりん風調味料
みりん風調味料は水あめなどの糖類、米、米麹、うまみ調味料などを混ぜて作られます。
みりん風調味料のメリット
アルコールはほとんど含まれていないため、酒税もかからず、安価に販売されています。
テリやツヤ、甘さは本みりんよりも強め。
煮込まない調理(マリネ・あえもの)にも使いやすい。
みりん風調味料のデメリット
アルコール成分に由来する煮崩れ防止・消臭・味がしみこみやすいなどの効果は期待できません。風味もみりんにはかないません。
つまりみりん風調味料は、みりんのテリとツヤ、甘さを表現するための調味料なんですね。
みりんタイプ(発酵調味料)
同じくみりんの代用品であるみりんタイプは、米やトウモロコシなどの穀物アルコール発酵させ、飲めないように食塩を、味の調整のために糖などを加えたもの。
味の調整で種類が異なり、甘味が強いものが「みりんタイプ」、日本酒に近いものを「料理酒」と呼ぶように。
みりんタイプのメリット
あえて飲用できなくすることで、酒税を免除され、お安く販売できるように工夫されました。
アルコール・糖分も含むので、みりんタイプの調理効果は本みりんとそれほど変わりません。
みりんタイプのデメリット
食塩を含むので、塩加減に注意が必要です。
調理効果は近いですが、風味はみりんにはかないません。
みりん風調味料とみりんの原材料の違い
出典:クックパッド
みりん風調味料などの違いを、原材料・製法などで比較してみましょう。
本みりん | みりん風調味料 | みりんタイプ | |
原材料 | もち米・米こうじ・醸造アルコール・糖類など酒税法で定められた原料 | 糖類・米・米こうじ・酸味料・調味料など | 米・米こうじ 糖類・アルコール・食塩など |
製法 |
糖化熟成 | ブレンドなど | 発酵・加塩 ブレンドなど |
アルコール分 | 約14% | 1%未満 | 約14% |
塩分 | 0% | 1%未満 | 約2% |
保存期間/場所 | 開封後約3カ月保存可能/冷暗所で常温保存 |
開封後12か月/開封後冷蔵庫保管 |
開封後12か月/冷暗所で常温保存 |
こうして比べてみると、みりん風調味料はみりんからずいぶん離れた存在ですね…。
本みりんよりも、色々と人工的な処理がされているものが加えられていることがわかります。
添加物の影響なども気になりますね。
みりんについて、「おや」っと思われた方、その疑問はのちほどご説明します。
原材料をさらに比べてみる
では「みりん風調味料」や「みりんタイプ」はすべてニセモノで、危険なのでしょうか?
その謎に狭くべく、市販のみりん風調味料やみりんタイプの原材料表示を調べて、一部書き出してみました。
主なみりんメーカー(ウェキペディア)の商品を参考にしています。
みりん風調味料 |
みりんタイプ(発酵調味料) |
|
A社 | 水あめ、発酵調味料、酸味料、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素 | 糖類、発酵調味料、アルコール、食塩 |
B社 | 水あめ、米・小麦発酵調味液、醸造酢、酸味料 | ぶどう糖、アルコール、食塩、小麦発酵調味液、砂糖、水あめ、米・米こうじ、酸味料 |
C社 | 水あめ、米・米こうじの醸造調味料、醸造酢・酸味料 |
①有機醸造調味料(有機米、食塩)、有機砂糖、食塩 |
②水あめ、米・米こうじの醸造調味料、食塩、酒精、調味料(アミノ酸)、酸味料 | ||
D社 | 取り扱い確認できず | ①有機醸造調味料(有機米、有機米麹、食塩)、有機砂糖、食塩、アルコール |
②水飴、醸造調味料(米、米麹、食塩)、食塩、アルコール | ||
③還元水あめ、醸造調味料(米、米麹、食塩)、食塩、アルコール、酸味料、甘味料(ステビア) |
一般的なみりん風調味料・みりんタイプといっても、実は原材料は色々なんですね!
ちなみにD3は低カロリータイプのもの。
有機タイプは総じてシンプルな材料ですが、今回みりん風調味料には見つけられませんでした。残念。
余談ですが、同じ商品名でも、「一般向けと業務用」、「瓶とペットボトルタイプ」などで原料が違うものがありました。
…商品名で選ぶのも、ちょっと違うようですね。
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気になるのは添加物?
さて原材料をチェックして物理的にはいろいろと違うんだな、ということはわかりました。
でも内容的にはちょっともう、ちんぷんかんぷんですね。
もう少しだけ、原材料を掘り下げてみます。
- 水あめ…トウモロコシ由来のデンプンを加工・精製してつくられた甘味料。食品添加物ではなく食品として扱われる。
- 還元水あめ…水あめに水素を加え「糖アルコール」にしたもの。吸収されにくく、低カロリーとされる。
- 液糖…サトウキビやビートを主原料に精製された砂糖を液状にした甘味料。
- 酸味料…酸味の風味づけに使われる食品添加物。代表的なものがクエン酸など。一括表示できるので、具体的に何が使われているのかは消費者にはわからない。
- 甘味料…甘味を調整するための食品添加物。ステビアは人工甘味料。物質名も表記することが決められている
- アルコール…糖蜜やサトウキビなどの糖質と、とうもこし、さつまいも、じゃがいもなどのデンプンを原料とし、糖化、発酵後、蒸留して得られたもの。発酵アルコール。エタノール、エチルアルコールの簡略名。
- 醸造アルコール…食用に用いられるエタノール。含糖質(廃糖蜜・精製糖蜜・甜菜糖蜜)と澱粉質(米・サツマイモ・トウモロコシ)を発酵・蒸留して作られる
- カラメル色素…砂糖やグルコースなどの糖類、デンプン加水分解物を原料とし、キャラメル化により製造される。着色、香りや苦み、コクをもたらす役割も。
風味や甘さを調整するための調味料や、カビなどを防ぐための保存料、みりんに近づけるための成分もろもろといった感じですかね。
アルコールは、缶のお酒ではおなじみです。
添加物には食品衛生法によって定められた安全基準があり、よほど偏った摂取をしなければ中毒症状を引き起こすことはないとされています。
それらの原材料に使われるトウモロコシや小麦などの穀物の多くが、大量消費に向けて遺伝子組み換えされているだろうことも含めてです。
みりん風調味料に含まれる程度の摂取量であれば、すぐにどうこうなるものではないでしょう。
ですが長期的に摂取することでの影響は少なからずありますし、体調や体質の問題もありますので、なるべくならとらないようにしたいものですね。
上質なものを食べていなければ、それを見分ける味覚は育たないんだろうな…と、毎年芸能人の格付け番組を見て痛感している筆者であります。
本みりんは本物のみりんなのか?
みりんについて調べるうちにわかったことを、ここでシェアさせていただきます!
みりんとみりん風調味料の比較表をもう一度ご覧ください。
みりんの原材料に注目!!!
本みりん | |
原材料 | もち米・米こうじ・醸造アルコール・焼酎・糖類など酒税法で定められた原料 |
「本みりん」って、焼酎の代わりに醸造アルコールを使ってるし、糖類も添加しているんですね。
全国味醂協会によると、一般的な「本みりん」の原料はもち米、米こうじ、醸造アルコール、糖類 で、 40~60日間熟成させて作られるとされています。
一方で伝統的な製法のみりんは、焼酎・もち米・米麹(こうじ)を2年程度熟成させることで、自然な香りや酸味、甘みが生み出されます。
手間ひまがかかるため、1本1000円~高級ブランド品として扱われるものもあります。
一般向けの「普及品」として市販の本みりんが流通しているのが現状なんです。
さらにこの普及品のみりんを、後発されたみりん風調味料などと区別しやすくするために、「本みりん」なんて呼ぶもんだから、よけいにややこしくなっています。
本格的に醸造されたみりんは「純米みりん」などとも呼ばれるようです。
大切なのは選び方!原材料をチェックしよう
少し横道にそれてしまいましたので、本題に戻ります!
本みりん、みりん風調味料、みりんタイプって呼び方も色々違いますが、同じ種類のみりん風調味料やみりんタイプでも、実際に比べてみると中身は違うことがわかりました。
これはもう呼び方や一般的な原材料は問題ではありません。
ラベルをチェックしましょう。
食品添加物が気になるあなた。
もし「みりん」を選ぶなら、「もち米・米こうじ・焼酎」のみのように、原材料がシンプルであることがポイントです!!
やはり伝統的な製法でじっくり時間をかけて作られているものを選びましょう。
一方でお手軽な「みりん風」を選ぶ場合は、余計な添加物を使用していないものを選ぶようにしましょう。
実際にスーパーやネットで調べた結果、余計な添加物の入っていない「みりん風調味料」を探すのは至難のわざですよ。
その時間があれば、もはや本物のみりんを買った方がお得じゃんっというのが筆者の意見です。
みりんは本来お酒なんだし、おいしく飲めて、お料理にも使えて、少量でもしっかりと素材の味を引き出してくれて、保存も効く、しかも余計な心配が少ないとなれば、むしろコスパはいいとも言えますよ。
結論。
みりん売り場で迷ったら「もち米・米こうじ・焼酎」に近い原材料の商品を選びましょう!
まとめ
市販の「本みりん」と「みりん風調味料」、「みりんタイプ」は、伝統的なみりんを模して造られた普及品です。
それぞれに特徴があり、ニーズによって選び方も違いが出るでしょう。
原材料は意外とバラバラなので、しっかりとラベルを見て選ぶことが大切です。
利便性や価格も大切ですが、食べることにどんな意味を持たせるのか、なんてことも大事にしていきたいですね♪