「犬や猫を飼いたい」とおもったら、あなたはどこへ足を運びますか?
ブリーダーを探す?
ペットショップに行く?
動物愛護センターでは、飼い主のいない犬や猫の新しい家族を探しています。
とはいえ、実際にはどんなところなのか、ぼんやりといたイメージしか持っていない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、動物愛護センターとはなにをするところなのか・保健所とは何が違うのか、業務内容や設置数、管轄、設置主体などを簡単にまとめました♪
参考:
この記事に書かれていること
動物愛護センターの役割と3つの柱
動物愛護センターは、動物のしつけ方や一緒に暮らす方法、命の大切さなどを、多くの人に知ってもらうための拠点としての役割を担っています。
動物愛護センターの3つの柱
動物愛護センターの事業は、主に3つの柱によって分けられています。
・動物保護事業
・動物愛護の普及事業
・動物取扱対策事業
それぞれみていきましょう。
動物保護事業
1つ目の大きな柱は保護に関する事業です。
捨てられたり、やむをえない事情で手放すことになった犬や猫、迷い犬などに対して、
⇒一時保護・引き取りした犬や猫の検査や治療、飼育・譲渡会の開
一匹でも多くの命を救うために、保護した犬や猫をご家庭に返す活動や、新しい家族との橋渡しになる活動をしています。
また、飼えなくなった動物を捨ててしまったり、虐待をしてしまったりという問題が起こらないように防いだり、広く人々に知ってもらうための普及活動なども行われています。
去勢手術や、ケガの治療、ワクチン接種など、健康や福祉に関する取り組みもあります。
保護期間が経過した動物の殺処分も動物愛護センターの担う役割のひとつです。
動物愛護の普及事業
人と動物の共生を目指して、動物との触れ合いを通じて、やさしく思いやりのある心を育てたり、動物とともに暮らすために必要な正しい知識や技術を伝えたりする事業です。
動物を飼っていない人、これから飼おうと思っている方に対して
⇒ふれあい交流会やイベントなどで、興味や関心・深い愛情をもってもらう
これから動物を飼おうと考えている人、動物を飼っている方に対して
⇒里親研修・犬や猫のしつけ方教室・動物の買い方や育て方などの相談など、
動物と暮らすために必要な知識や技能を学んだり、動物と出会える場所を提供しています。
動物取扱対策事業
動物愛護センターは、動物を飼育する個人や事業者などに対して、適切に飼育しているかどうか指導や管理を行う役割があります。
とくに事業者として、動物の販売や飼育をして生計を立てる人には、プロとして他の市民の方の見本になるように、動物の命を適切に取り扱う責任があります。
衛生的な環境を整えられているのか、動物が虐待されてはいないか、適切な施設で育てられているかなど、指導を行います。
災害時の避難場所にも
地震などの災害が起きた際の避難所に、ペットを連れて行くのは難しいものです。
動物愛護センターでは、日頃は救援グッズや備蓄の保管をおこない、被災した動物と飼い主が一緒に避難でできる場所として活用される救護活動の拠点としての役割も担っています。
もともとは保健所の一部だった?
狂犬病などの動物に由来する感染症の予防など、公衆衛生の向上が中心に考えられていた保健所。
世界的な動物愛護の流れや、国内での複雑化する動物トラブルなども背景となり、
やさしい気持ちで生きものと接したり、命の尊さを学んだり、広く普及させることを中心とした行政への転換の必要性が高まってきました。
そこで、保健所の機能の中から、狂犬病などの感染症の予防に関する対策や犬や猫の保護や、譲渡などを切り離し、殺処分数の減少などを目指すための拠点として、動物愛護センターが整備されてきています。
動物愛護センターが設置された都道府県などでは、その業務が徐々に移管されていますが、
自治体によって、取り組みの体勢に多少の差があります。
保健所と動物愛護センターの違い
もともと同じ施設だったこともあり、「保健所」としてのイメージも強い動物愛護センター。
実際にはどのようなことが違うのでしょうか?
気になる項目を比べてみました。
設置されている数が違う
平成30年度の全国の保健所の数は469か所(自治体数150)。
保健所がない都道府県はありません。
都道府県、指定都市、中核都市、その他の政令市、23区などが主体となって設置されています。
保健所数の推移(外部リンクです。全国保健所長会の資料ページに移動します。)
動物愛護センター(動物管理センター・動物保護センターも含めて)も各都道府県や市などの自治体に設置されています。
ですがその設置数は保健所と比べるとはるかに少なく、全国で79か所ほど確認することができました。
(環境省のサイトに掲載されている動物収容施設一覧・自治体のうち保健所はのぞいて数えました。)
管理機関が違う?
動物愛護センターの設置主体は、都道府県や市。
県と市が共同で設置する場合もあります。
動物愛護の啓発などを行う動物愛護センターは、環境省の管轄と位置付けられています。
一方で保健所は設置主体は、県や市などの自治体ですが、厚生労働省の管轄になります。
人に対する感染症の予防などの観点から、動物の保護や収容を行っています。
業務内容や対象にする観点が違う
保健所の業務内容は、動物に特化したものではありません。
人に関する衛生を担っている部分が大きいです。
一般的に保健所といえば、飲食店の衛生管理や食中毒の防止、保健師さんの赤ちゃん検診などの母子保健も思い出す人も多いのではないでしょうか?
感染症などを広げる可能性がある野犬や野良猫などの動物に対して、一時保護をしたり、ワクチン接種の推奨や管理なども行っています。
保健所にて一時収容された動物は、動物愛護センターに運ばれるのが一般的な流れになって来ています。
ですが、保護した動物の収容情報を提供したり、里親を探して譲渡会などを行う保健所も多い印象です。
一方で、動物愛護センターは動物への配慮、尊厳を守るという観点から、動物を保護・治療・譲渡会などの活動を行っています。
しつけ教室や里親研修などの取り組みは動物愛護センターならではといえます。
保健所で保護されたり、引き取られたりした犬や猫を受け入れたり、最終的な処分などの役割も担っています。
保健所は殺処分をする施設ではない?
一般的には、保健所と動物愛護センターでの役割分担がすすめられています。
一部ネットの質問投稿サイトなどでは、保健所では殺処分をしないという意見もみられますが、これは自治体によっても異なるようです。
動物愛護センターなど、動物を保護管理する施設が設置されていない自治体では、
引き続き保健所が動物愛護管理業務を担っているところもあるのが現状のようです。
例)岩手県では盛岡市中央保健所犬猫保護センターが設置されていますが、一応保健所に組織されており、独立した愛護センターではありません。
今後は、動物の殺処分の施設や機能は、保健所から動物愛護センターに移行されていくと考えられます。
保健所や動物愛護センターは、それぞれの観点から動物の福祉や保護、環境整備、病気の予防や治療などに取り組んでいくことが期待されています。
まとめ
動物愛護センターは、都道府県や市に設置されている、公的な施設です。
犬や猫などの動物を保護したり、命の大切さを考え浸透させるための取り組みを行っています。
最終的には、保護期間の過ぎた動物の殺処分も業務の特徴としてあげられます。
保健所と動物愛護センタ―では、業務内容が完全に切り離されていない部分もあり、都道府県や各自治体によって設置数にも違いがみられます。
殺処分のイメージの強い施設でしたが、それは最後の手段。
本来は犬や猫の殺処分を減らすために、新しい家族との橋渡しとなってくれる場所です。